Tacens vocem verbaque vultus habet.

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「タケンス・ウォーケム・ウェルバクェ・ウルトゥス・ハベト」と読みます。
tacens は「沈黙する」を意味する第2変化動詞 taceō,-ēre の現在分詞、男性・単数・主格です。「沈黙している」と訳せます。vultus にかかります。
直訳は、「沈黙している(Tacens)顔は(vultus)」。あるいは「顔は(vultus)沈黙している状態で(Tacens)」、すなわち「顔は沈黙しても」と訳せます。
vōcem は「声」を意味する第3変化名詞 vox,vōcis f. の単数・対格です。
verba は「言葉」を意味する第2変化verbum,-ī n.の複数・対格です。
-queは「そして」。vōcemとverbaをつなぎます。
vultusはvultus,-ūs m.(顔)の単数・主格です。文の主語です。
habet は「持つ」を意味する第2変化動詞habeō,-ēreの直説法・能動態・現在、3人称単数です。
「沈黙した顔は声と言葉を持つ」、または「顔は沈黙していても声と言葉を持つ」と訳せます。
「目は口程に物を言う」と同じ趣旨の表現です。
ローマの恋愛詩人オウィディウスの言葉で、『恋の技術』の中に見られる表現です(Ov.A.A.1.574)。
原文では、言葉を用いずに意中の女性に自分の気持ちを伝えるあの手この手が語られています。

恋の技法 (平凡社ライブラリー)
オウィディウス Publius Ovidius Naso

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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