Ora et labora. 祈れ、働け

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語彙と文法

「オーラー・エト・ラボーラー」と発音します。
ōrā は、「祈る」という意味の第1変化動詞ōrō,-āre の命令法・能動態・現在、2人称単数です。
labōrā も、「働く」を意味する第1変化動詞labōrō,-āre の同じ形(命令法・能動態・現在、2人称単数)です。
「祈れ、そして働け」という意味になります。
labōrā の綴りの中に ōrāが含まれている点に注意して下さい。発音もきれいに響きます。
ベネディクト会のモットーです。

祈れ、そして働け

ベネディクト会のモットーです。ゆっくりと「オーラー・エト・ラボーラー」と発音してみてください。音の響きが重なりあい美しく聞こえます。

オーラーが「祈りなさい」、ラボーラーが「働きなさい」という意味ですが、綴りを見ると、labōrā の中に ōrā の文字が見つかります。つまり、「勤労の中に祈りがある」という考えが文字の上でも表現されています。

「祈ること」イコール「信念をもつこと」ととらえると、表題は「信念を持って働け」というメッセージとして受け取ることができます。日々の仕事に真剣に取り組む中で、人は自分なりの信念を培うことができます。逆に、仕事に精を出すことなく、信念だけをどこかから借りてくることはできません。

信念とは生きる力であり、自分を支える強い気持ちです。ウェルギリウスの『アエネーイス』に「できると思うからできる」(5.231 possunt, quia posse uidentur.)という言葉があります。日本語の「なせばなる」という言葉と同じ意味です。逆に言えば、「できないと思うからできない」のです。しかし、「なせばなる」という信念を培うための特効薬、そんな呪文の言葉はありません。

日々のたゆまぬ取り組みの中にこそ、信念を養う道が開かれている。表題はそのことに気づかせてくれる言葉です。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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