
Veritas vincit. 真理は勝つ
「ウェーリタース・ウィンキト」と読みます。
vēritās は「真理」を意味する第3変化名詞 vēritās, -ātis f. の単数・主格で、この文の主語です。
vincit は「勝つ、打ち勝つ」を意味する第3変化動詞 vincō, -ere の直説法・能動態・現在、3人称単数です。
したがって、Veritas vincit. は「真理は勝つ」と訳せます。
同じ形で、「正義は勝つ」と言いたければ、Iūstitia vincit. となります。iūstitia は「正義、公正」を意味する第1変化名詞です。
この言葉は、チェコおよび旧チェコスロヴァキアの歴史と深い関係をもっています。
現在のチェコ共和国の大統領旗には、チェコ語で Pravda vítězí(「真理は勝つ」)という言葉が掲げられています。
興味深いことに、チェコスロヴァキアが民主化した直後の1990年から1992年にかけて、大統領旗にはチェコ語ではなく、ラテン語で VERITAS VINCIT と記されていました。
当時のチェコスロヴァキアはチェコとスロヴァキアからなる連邦国家でした。「真理は勝つ」という標語をチェコ語とスロヴァキア語のどちらで記すかという問題があり、その折衷案としてラテン語が採用されたのです。
ラテン語は、特定の民族の言語を超えて共有できる言葉として、ここでも役割を果たしたことになります。
vincō は、敵を「打ち負かす」という意味にも用いられる動詞です。しかし Veritas vincit. において勝つのは武力ではなく「真理」です。
真理はすぐに勝つとは限りません。ときには嘘や誤りのほうが力を持っているように見えることもあります。それでも最後には真実が明らかになる――Veritas vincit. という短い言葉には、そのような強い信念が込められているように思われます。
