Veritas vincit. 真理は勝つ

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Veritas vincit. 真理は勝つ

「ウェーリタース・ウィンキト」と読みます。

vēritās は「真理」を意味する第3変化名詞 vēritās, -ātis f. の単数・主格で、この文の主語です。

vincit は「勝つ、打ち勝つ」を意味する第3変化動詞 vincō, -ere の直説法・能動態・現在、3人称単数です。

したがって、Veritas vincit. は「真理は勝つ」と訳せます。

同じ形で、「正義は勝つ」と言いたければ、Iūstitia vincit. となります。iūstitia は「正義、公正」を意味する第1変化名詞です。

この言葉は、チェコおよび旧チェコスロヴァキアの歴史と深い関係をもっています。

現在のチェコ共和国の大統領旗には、チェコ語で Pravda vítězí(「真理は勝つ」)という言葉が掲げられています。

興味深いことに、チェコスロヴァキアが民主化した直後の1990年から1992年にかけて、大統領旗にはチェコ語ではなく、ラテン語で VERITAS VINCIT と記されていました。

当時のチェコスロヴァキアはチェコとスロヴァキアからなる連邦国家でした。「真理は勝つ」という標語をチェコ語とスロヴァキア語のどちらで記すかという問題があり、その折衷案としてラテン語が採用されたのです。

ラテン語は、特定の民族の言語を超えて共有できる言葉として、ここでも役割を果たしたことになります。

vincō は、敵を「打ち負かす」という意味にも用いられる動詞です。しかし Veritas vincit. において勝つのは武力ではなく「真理」です。

真理はすぐに勝つとは限りません。ときには嘘や誤りのほうが力を持っているように見えることもあります。それでも最後には真実が明らかになる――Veritas vincit. という短い言葉には、そのような強い信念が込められているように思われます。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー『神々の本性について』(岩波書店)、ネポース『英雄伝』(講談社学術文庫)、プラウトゥス『カシナ』、テレンティウス『兄弟』、ルクレ―ティウス『事物の本性について』(いずれも京都大学学術出版会)。単著に『ローマ人の名言88』(牧野出版)、『しっかり学ぶ初級ラテン語』、『しっかり身につくラテン語トレーニングブック』、『ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」』(いずれもベレ出版)、『お山の幼稚園で育つ』(世界思想社)。

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