直説法・能動態・過去完了の例文

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過去完了は、完了幹にsumの未完了過去を加えて作ります。

Themistocles omnium civium perceperat nomina.
「テミストクレース・オムニウム・キーウィウム・ペルケーペラト・ノーミナ」と読みます。
omniumは「すべての」を意味する第3変化形容詞omnisの男性・複数・属格です。
civiumは「市民」を意味する第3変化名詞civisの複数・属格です。
perceperatは「つかむ、記憶する」を意味する第3変化B動詞percipioの直説法・能動態・過去完了、3人称単数です。
nominaは「名前」を意味する第3変化名詞nomenの複数・対格です。
「テミストクレースはすべての市民の名前を覚えていた」と訳せます。
キケローの『老年について』に見られる表現です(Cic.Sen.7)。

Scripseram ad te epistulam.
「スクリプセラム・アド・テー・エピストゥラム」と読みます。
scripseramは「書く」を意味する第3変化動詞scriboの直説法・能動態・過去完了、1人称単数です。
adは「<対格>に」を意味する前置詞です。
teは2人称の人称代名詞、単数・対格です。
epistulamは「手紙」を意味する第1変化名詞epistulaの単数・対格です。
「私はあなたへの手紙を書き終えていた」と訳せます。
キケローの『アッティクス宛書簡集』に見られる表現です(Cic.Att.9.7.1)。

Torquatus filium suum quod is contra imperium in hostem pugnaverat necari jussit.
「トルクゥァートゥス・フィーリウム・スウム・クゥォド・イス・コントラー・インペリウム・イン・ホステム・プグナーウェラト・ネカーリー・ユッシト」と読みます。
filiumは「息子」を意味する第2変化名詞filiusの単数・対格です。
quodは理由文を導く接続詞です。
isは「それ」を意味する指示代名詞is,ea,idの男性・単数・主格です。この文では3人称単数の人称代名詞の代わりに用いられています。
contraは「<対格>に背いて」を意味する前置詞です。
imperiumは「命令」を意味する第2変化名詞imperiumの単数・対格です。
hostemは「敵」を意味する第3変化名詞hostisの単数・対格です。
pugnaveratは「戦う」を意味する第1変化動詞pugnoの直説法・能動態・過去完了、3人称単数です。
necariは「殺す」を意味する第1変化動詞necoの不定法・受動態・現在です。
jussitは「命じる」を意味する第2変化動詞jubeoの直説法・能動態・完了、3人称単数です。
「トルクアートゥスは、命令に背いて敵に戦いを仕掛けたという理由から、自分の息子が殺されるよう(を殺すよう)命じた」と訳せます。
サッルスティウスの『カティリーナ戦記』に見られる表現です(Sall.Cat.52)。

Num quid simile populus Romanus audiverat aut viderat?
「ヌム・クゥィド・シミレ・ポプルス・ローマーヌス・アウディーウェラト・アウト・ウィーデラト」と読みます。
numは否定の答えを予想する疑問文を導きます。
quidはaliquid(何か)のことです。不定代名詞aliquidはNumの後でali-を取ったquidの形で代用されます。
simileは「似た」を意味する第3変化形容詞similis,-eの中性・単数・対格です。
populusは「国民」を意味する第2変化名詞、単数・主格です。
Rōmānusは「ローマの」を意味する第1・第2変化形容詞、男性・単数・主格です。
audīveratは「聞く」を意味する第4変化動詞audiō,-īre の直説法・能動態・過去完了、3人称単数です。過去のある時点以前の行為を表します。
vīderatは「見る」を意味する第2変化動詞videō,-ēre の直説法・能動態・過去完了、3人称単数です。
「何か似たようなことをローマ国民は、(そのときまで)聞いたり見たりしたことがあっただろうか」と訳せます。
キケローの『友情について』に見られる表現です(Cic.Amic.41)。

Helvetii jam per angustias et fines Sequanorum suas copias traduxerant.
「ヘルウェーティイー・ヤム・ペル・アングスティアース・エト・フィーネース・セクゥァノールム・スアース・コーピアース・トラードゥクセラント」と読みます。
jamは「すでに」を意味する副詞です。
angustiāsは「隘路」を意味する第1変化複数名詞angustiaeの対格です。
fīnēsは「領土」を意味する第3変化名詞fīnis,-is m.の複数・対格です。
suāsは「自分の」を意味する3人称の所有形容詞suus,-a,-umの女性・複数・対格です。
coōiāsは「軍勢」を意味する第1変化名詞cōpiae,-ārum f.pl.の対格です。
trāduxerantは「導く」を意味する第3変化動詞trādūcō,-ere の直説法・能動態・過去完了、3人称複数です。
「ヘルウェーティイー族は、隘路とセークァニー族の領土を通り、すでに自軍を導き終えていた」と訳せます。
カエサルの『ガリア戦記』に見られる表現です(Caes.B.G.1.11)。

Magni saepe duces, magni cecidere tyranni, et Thebae steterant altaque Troja fuit.
「マグニー・サエペ・ドゥケース・マグニー・ケキデーレ・テュラッニー・エト・テーバエ・ステテラント・アルタクゥェ・トロイヤ・フイト」と読みます。
magniは「偉大な」を意味する第1・第2変化形容詞magnus,-a,-umの男性・複数・主格です。
saepeは「しばしば」を意味する副詞です。
ducesは「指導者」を意味する第3変化名詞duxの複数・主格です。
cicidereは「倒れる」を意味する第3変化動詞cadoの直説法・能動態・完了、3人称複数です。
tyranniは「僭主」を意味する第2変化名詞tyrannusの複数・主格です。
steterantは「立つ」を意味する第1変化動詞stoの直説法・能動態・過去完了、3人称複数です。
altaは「高い」を意味する第1・第2変化形容詞altus,-a,-umの女性・単数・主格です。
fuitは「~がある」を意味する不規則動詞sumの直説法・能動態・完了、3人称単数です。
「偉大な指導者も、偉大な僭主も数多く倒れた。テーバエ(の城)もそびえ立っていた(が今はない)。(城の)高いトロイヤもあった(今はない)」と訳せます。
プロペルティウスの『詩集』に見られる表現です(Prop.2.8.9-10)。

Erat enim in illo viro comitate condita gravitas, nec senectus mores mutaverat.
「エラト・エニム・イン・イッロー・ウィロー・コーミターテ・コンディータ・グラウィタース・ネク・セネクトゥース・モーレース・ムーターウェラト」と読みます。
eratはsumの直説法・能動態・未来完了、3人称単数です。
illoは指示形容詞ille(それ)の男性・単数・奪格です。
viroは「男、人物」を意味する第2変化名詞virの単数・奪格です。
comitateは「好意」を意味する第3変化名詞comitasの単数・奪格です。
conditaは「<奪格>で味付けされた」を意味する完了分詞conditus,-a,-umの女性・単数・主格です。
gravitasは「威厳」を意味する第3変化名詞、単数・主格です。
senectusは「老年」を意味する第3変化名詞、単数・主格です。
moresは「性格」を意味する第3変化名詞mosの複数・対格です。
mutaveratは「変える」を意味する第1変化動詞mutoの直説法・能動態・過去完了、3人称単数です。
「というのも、その人物には好意で味付けされた威厳があり、老年が性格を変えることもなかったからである」と訳せます。
キケローの『老年について』に見られる表現です(Cic.Sen.10)。

Ille avidus pugnae suras incluserat auro. 
「イッレ・アウィドゥス・プグナエ・スーラース・インクルーセラト・アウロー」と読みます。
illeは「それ」を意味する指示代名詞、男性・単数・主格です。この文では3人称の人称代名詞として用いられています。
avidusは「<属格>に心がはやる」を意味する第1・第2変化形容詞、男性・単数・主格です。
pugnaeは「戦い」を意味する第1変化名詞pugnaの単数・属格です。
surasは「ふくらはぎ」を意味する第1変化名詞suraの複数・対格です。
incluseratは「包む」を意味する第3変化動詞includoの直説法・能動態・過去完了、3人称単数です。
auroは「黄金」を意味する第2変化名詞aurumの単数・奪格です。これは手段の奪格とみなせます。
「彼は戦いに心がはやり、すでにふくらはぎを黄金(のすね当て)で包み終えていた」と訳せます。
ウェルギリウスの『アエネーイス』に見られる表現です(Verg.Aen.12.430)。

Hectoris hic magni fuerat comes, Hectora circum et lituo pugnas insignis obibat et hasta.
「ヘクトリス・ヒク・マグニー・フエラト・コメス・ヘクトラ・キルクム・エト・リトゥオー・プグナース・インシグニース・オビーバト・エト・ハスター」と読みます。
HectorisはHector(ヘクトル)の単数・属格です。
hicは「これ」を意味する指示代名詞、男性・単数・主格です。この文では3人称の人称代名詞の代わりに使われています。
magniは「偉大な」を意味する第1・第2変化形容詞magnus,-a,-umの男性・単数・属格で、Hectorisにかかります。
fueratはsumの直説法・能動態・過去完了、3人称単数です。
comesは「友」を意味する第3変化名詞、単数・主格です。
HectoraはHectorの単数・対格です。
circumは「<対格>のそばで、周りで」を意味する前置詞です。
lituoは「らっぱ」を意味する第2変化名詞lituusの単数・奪格です。
pugnasは「戦い」を意味する第1変化名詞pugnaの複数・対格です。
insignisは「際立った」を意味する第3変化形容詞insignis,-e の男性・単数・主格です。この文では副詞的に使われています。
obibatは「参加する」を意味する不規則動詞(合成動詞)obeoの直説法・能動態・未完了過去、3人称単数です。
hastaは「盾」を意味する第1変化名詞hastaの単数・奪格です。
「この者こそ偉大なヘクトルの友であった。ヘクトルのそばでラッパと盾を携えて大いなる戦いに参加していた」と訳せます。
ウェルギリウスの『アエネーイス』に見られる表現です(Verg.Aen.6.166-167)。

Tantam urbem luctu ac maerore compleverant.
「タンタム・ウルベム・ルクトゥー・アク・マエローレ・コンプレーウェラント」と読みます。
tantamは「これほど大きい」を意味する第1・第2変化形容詞tantus,-a,-umの女性・単数・対格です。
urbemは「都」を意味する第3変化名詞urbsの単数・対格です。
luctuは「悲しみ」を意味する第4変化名詞luctus,-us の単数・奪格です。
maeroreは「嘆き」を意味する第3変化名詞maerorの単数・奪格です。
compleverantは「満たす」を意味する第2変化動詞compleoの直説法・能動態・過去完了、3人称複数です。
「彼らはこれほど大きな都を悲しみと嘆きで満たしてしまっていた」と訳せます。
クルティウス・ルーフスの『アレクサンドロス大王伝』に見られる表現です(Curt.10.5)。

Dumnorix ex ea civitate Orgetorigis filiam in matrimonium duxerat.
「ドゥムノリクス・エクス・エアー・キーウィターテ・オルゲトリギス・フィーリアム・イン・マートリモーニウム・ドゥークセラト」と読みます。
eaは指示形容詞is(その)の女性・単数・奪格です。
civitateは「国」を意味する第3変化名詞civitasの単数・奪格です。
OrgetrigisはOrgetrixの単数・属格です。
filiamは「娘」を意味する第1変化名詞filiaの単数・対格です。
matrimoniumは「結婚、婚姻」を意味する第2変化名詞、単数・対格です。
in matrimonium ducereは熟語で、「嫁にもらう」を意味します。
「ドゥムノリクスはその国からオルゲトリクスの娘を(すでに)嫁にもらっていた」と訳せます。
カエサルの『ガリア戦記』に見られる表現です(Caes.B.G.1.9)。

カエサル『ガリア戦記』第Ⅰ巻をラテン語で読む
山下 太郎

Equitatum auxilio Caesari Haedui miserant.
「エクゥィタートゥム・アウクシリオー・カエサリー・ハエドゥイー・ミーセラント」と読みます。
equitatumは「騎兵隊」を意味する第4変化名詞equitatus,-usの単数・対格です。
auxilioは「援軍」を意味する第2変化名詞auxiliumの単数・与格です。
miserantは「送る」を意味する第3変化動詞mittoの直説法・能動態・完了、3人称複数です。
「ハエドゥイー族は援軍として騎兵隊をカエサルに(すでに)送っていた」と訳せます。
カエサルの『ガリア戦記』に見られる表現です(Caes.B.G.1.18)。

Massilienses portas Caesari clauserant.
「マッシリエンセース・ポルタース・カエサリー・クラウセラント」と読みます。
Massilienesは「マッシリア人」を意味する第3変化複数名詞(主格)です。
portasは「城門」を意味する第1変化名詞portaの複数・対格です。
Caesriは「カエサル」を意味する第3変化名詞Caesarの単数・与格です。
clauserantは「<対格>を<与格>に閉ざす」を意味する第3変化動詞claudoの直説法・能動態・過去完了、3人称複数です。
「マッシリア人は城門をカエサルに閉ざしていた」と訳せます。
カエサルの『ガリア戦記』に見られる表現です(Caes.B.C.1.34)。

Ut alios industria, ita hunc ignavia ad famam protulerat.
「ウト・アリオース・インドゥストリア・イタ・フンク・イグナーウィア・アド・ファーマム・プロートゥレラト」と読みます。
utは「~のように」を意味する副詞です。
aliosは「他の」を意味する代名詞的形容詞、男性・複数・対格です。この文では名詞として使われています。「他の者たちを」。
industriaは「勤勉」を意味する第1変化名詞、単数・主格です。
itaは「そのように、ut以下のように」を意味する副詞です。
huncは「これ」を意味する指示代名詞hicの男性・単数・対格です。
ignaviaは「怠惰」を意味する第1変化名詞、単数・主格です。
famamは「名声」を意味する第1変化名詞famaの単数・対格です。
protuleratは「駆り立てる」を意味する不規則動詞(合成動詞)proferoの直説法・能動態・過去完了、3人称単数です。
「他の者たちを勤勉が駆り立てる(た)ように、この者は怠惰が名声へと駆り立てていた」と訳せます。
タキトゥスの『年代記』に見られる表現です(Tac.16.18)。

Non tu corpus eras sine pectore. Di tibi formam, di tibi divitias dederant.
「ノーン・トゥー・コルプス・エラース・シネ・ペクトレ・ディー・ティビ・フォルマム・ディー・ティビ・ディーウィティアース・デデラント」と読みます。
corpusは「肉体」を意味する第3変化名詞、単数・主格です。
erasは「~である」を意味する不規則動詞sumの直説法・能動態・未完了過去、2人称単数です。
sineは「<奪格>なしの」を意味する前置詞です。
pectoreは「心」を意味する第3変化名詞pectusの単数・奪格です。
diは「神」を意味する第2変化名詞deusの複数・主格です。
tibiは2人称の人称代名詞、単数・与格です。
formamは「姿」を意味する第1変化名詞formaの単数・対格です。
divitiasは「富」を意味する第1変化複数名詞divitiaeの対格です。
dederantは「与える」を意味する不規則動詞doの直説法・能動態・過去完了、3人称複数です。
「あなたは心のない肉体ではなかった。神々はあなたに美しい姿と富を授けていた」と訳せます。
ホラーティウスの『書簡詩』に見られる表現です(Hor.Ep.1.4.6-7)。

Huic legioni Caesar et indulserat praecipue et propter virtutem confidebat maxime.
「フイーク・レギオーニー・カエサル・エト・インドゥルセラト・プラエキプエー・エト・プロプテル・ウィルトゥーテム・コンフィーデーバト・マクシメー」と読みます。
huicは「これ」を意味する指示形容詞hicの女性・単数・与格です。
legioniは「軍団」を意味する第3変化名詞legioの単数・与格です。
indulseratは「<与格>に好意を持つ」を意味する第2変化動詞indulgeoの直説法・能動態・過去完了、3人称単数です。
praecipueは「とくに」を意味する副詞です。
propterは「<対格>のため、ゆえに」を意味する前置詞です。
virtutemは「武勇」を意味する第3変化名詞virtusの単数・対格です。
confidebatは「信頼する」を意味する第3変化動詞confidoの直説法・能動態・未完了過去、3人称単数です。
maximeは「最も」を意味する副詞です。
「カエサルはこの軍団には(以前から)とくに好意を持っており、その武勇のため最も信頼を寄せてもいた」と訳せます。
カエサルの『ガリア戦記』に見られる表現です(Caes.B.G.1.40)。

Huc Caesar omnes obsides Galliae, frumentum, pecuniam publicam, suorum atque exercitus impedimentorum magnam partem contulerat.
「フーク・カエサル・オムネース・オブシデース・ガッリアエ・フルーメントゥム・ペクーニアム・プーブリカム・スオールム・アトクゥェ・エクセルキトゥース・インペディーメントールム・マグナム・パルテム・コントゥレラト」と読みます。
hucは「ここに」を意味する副詞です。
omnesは「すべての」を意味する第3変化形容詞、男性・複数・対格です。
obsidesは「人質」を意味する第3変化名詞obses,obsidis の複数・対格です。
frumentumは「穀物」を意味する第2変化名詞frumentumの単数・対格です。
pecuniamは「金銭」を意味する第1変化名詞pecuniaの単数・対格です。
publicamは「公の」を意味する第1・第2変化形容詞publicus,-a,-umの女性・単数・対格です。
suorumは「自分の」を意味する3人称の所有形容詞 suus,-a,-umの中性・複数・属格です。
exercitusは「軍」を意味する第4変化名詞exercitusの単数・属格です。
impedimentorumは「荷物」を意味する第2変化複数名詞 impedimenta,-orumの属格です。
magnamは「大きい」を意味する第1・第2変化形容詞magnus,-a,-umの女性・単数・対格です。
partemは「部分」を意味する第3変化名詞parsの単数・対格です。
contuleratは「集める」を意味する不規則動詞(合成動詞)conferoの直説法・能動態・過去完了、3人称単数です。
「ここにカエサルはガッリアの人質全員、穀物、公の資金、自分と軍の荷物の大部分をすでに集めていた」と訳せます。
カエサルの『ガリア戦記』に見られる表現です(Caes.B.G.7.55)。

Hūc magnum numerum equōrum hūjus bellī causā in Italiā atque Hispāniā coemptum mīserat.
「フーク・マグヌム・ヌメルム・エクゥォールム・フイユス・ベッリー・カウサー・イン・イタリアー・アトクゥェ・ヒスパーニアー・コエンプトゥム・ミーセラト」と読みます。
hucは「ここに」を意味する副詞です。
magnumは「多数の」を意味する第1・第2変化形容詞magnus,-a,-umの男性・単数・対格です。
numerumは「数」を意味する第2変化名詞numerusの単数・対格です。
equorumは「馬」を意味する第2変化名詞equusの複数・属格です。
hujusは「この」を意味する指示形容詞hicの中性・単数・属格です。
belliは「戦争」を意味する第2変化名詞bellumの単数・属格です。
causaは「理由」を意味する第1変化名詞causaの単数・奪格です。この形と名詞の属格で「<属格>のために」の意味を表します。
coemptumは「買い集める」を意味する第3変化動詞coemoの完了分詞、男性・単数・対格です。numerumにかかります。
miseratは「送る」を意味する第3変化動詞mittoの直説法・能動態・過去完了、3人称単数です。
「ここに彼はこの戦争のためにイタリアとヒスパニアで買い集めた馬の多くの数(多数の馬)を送っていた」と訳せます。
カエサルの『ガリア戦記』に見られる表現です(Caes.B.G.7.55)。

Igitur talibus viris non labor insolitus, non locus ullus asper aut arduus erat, non armatus hostis formidulosus: virtus omnia domuerat.
「イギトゥル・ターリブス・ウィリース・ノーン・ラボル・インソリトゥス・ノーン・ロクス・ウッルス・アスペル・アウト・アルドゥウス・エラト・ノーン・アルマートゥス・ホスティス・フォルミードゥロースス・ウィルトゥース・オムニア・ドムエラト」と読みます。
igiturは「それゆえ」を意味する接続詞です。
talibusは「そのような」を意味する第3変化形容詞talis,-eの男性・複数・与格です。
virisは「男」を意味する第2変化名詞virの複数・与格です。
laborは「労苦」を意味する第3変化名詞、単数・主格です。
insolitusは「不慣れな」を意味する第1・第2変化形容詞insolitus,-a,-umの男性・単数・主格です。
locusは「場所」を意味する第2変化名詞locusの単数・主格です。
ullusは「(否定文で)いかなる~も」を意味する代名詞的形容詞 ullus,-a,-umの男性・単数・主格です。
asperは「苛酷な」を意味する第1・第2変化形容詞asper,-era,-erumの男性・単数・主格です。
arduusは「厳しい」を意味する第1・第2変化形容詞arduus,-a,-umの男性・単数・主格です。
eratは「~である」を意味する不規則動詞sumの直説法・能動態・未完了過去、3人称単数です。
armatusは「武装した」を意味する第1・第2変化形容詞armatus,-a,-umの男性・単数・主格です。
hostisは「敵」を意味する第3変化名詞、単数・主格です。
formidulosusは「恐るべき」を意味する第1・第2変化形容詞 formidulosus,-a,-umの男性・単数・主格です。
virtusは「勇気」を意味する第3変化名詞、単数・主格です。
omniaは「すべて」を意味する第3変化形容詞omnis,-eの中性・複数・対格です。この文では名詞的に用いられ、「すべてのもの」を意味します。
domueratは「征服する」を意味する第1変化動詞domoの直説法・能動態・過去完了、3人称単数です。
「それゆえ、そのような男たちにとって労苦は不慣れではなく、いかなる場所も過酷で厳しいものではなく、武装した敵は恐るべきものではなかった。勇気がすべてを征服していた」と訳せます。
サッルスティウスの『カティリーナ戦記』に見られる表現です(Sall.Cat.7)。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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