Sunt lacrimae rerum et mentem mortalia tangunt.

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「スント・ラクリマエ・レールム・エト・メンテム・モルターリア・タングント」と読みます。
sunt は「~がある」を意味する不規則動詞 sum,esse の直説法・現在、3人称複数です。
主語は lacrimae です。「涙」を意味する第1変化名詞 lacrima,-ae f. の複数・主格です。
rērum は「物、事、出来事」を意味する第5変化名詞 rēs,reī f. の複数・属格で lacrimae にかかります。
mentem は「心」を意味する第3変化名詞 mens,mentem f. の単数・対格です。
mortālia は「人間の、人間に関わる」を意味する第3変化形容詞 mortālis.-e の中性・複数・主格です。ここでは名詞的に用いられています。
tangunt は「触れる」を意味する第3変化動詞 tangō,-ere の直説法・能動態・現在、3人称複数です。
「歴史への涙がある。人間の出来事は心(の琴線に)触れる。」という意味です。
ウェルギリウスの『アエネイス』に出てくる表現です。
岡・高橋訳では、前後関係も考慮に入れ、「ここにも人の世に注ぐ涙があり、人間の苦しみは人の心を打つ。」となっています。
背景の説明は、こちらをどうぞ。>>「はかなきは人の世の営み」

アエネーイス (西洋古典叢書)
ウェルギリウス 岡 道男

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

コメント

コメント一覧 (3件)

  • 山下園長どの

    かりんの父のHijino Kenです。娘がいつもお世話になっています。 ひょんなことで、小津安二郎の「浮き草」の批評を読んでましたら→英語でmono no awareと表現されていましたので、それを英語で検索してみましたら→ wikiでlacrimae rerumが紹介されていまして、その表現に興味をもったので、それをグーグルしたら→山下先生のリンクにたどりつきましてびっくりしました。 

    奇遇というか、世の中面白いように情報がつながっていますね。

    ということで、コメントを入れました。別に特に意味がありません。

    mundus mirabilis と表現するべきでしょうか。(正しい表現なのかわかりませんが、わたくしも高校時代3年間ラテン語を勉強いたしました!)

    ヒジノ

    • ここでお会いするとは(笑)。私もmono no awareを調べてみました。たしかにlacrimae(涙)とaware、mono no と rerum(=ものの)はうまく対応しますね。

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