Dum fata sinunt vivite laeti.

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「ドゥム・ファータ・シヌント・ウィーウィテ・ラエティー」と読みます。
dum は接続詞で「~する間」を意味する接続詞です。
fāta は「運命」を意味する第2変化の中性名詞 fātum,-ī n. の複数・主格です。
sinunt は「許す」を意味する動詞 sinō,-ere の直説法・能動態・現在、3人称複数です。
vīvite は「生きる」を意味する動詞 vīvō,-ere の命令法・能動態・現在、2人称複数です。
laetī は「喜ばしい、楽しい」を意味する第1・第2変化形容詞 laetus,-a,-um の男性・複数・主格です。vīvite で想定される2人称複数(あなたがた)の人称代名詞vōs と性・数・格が一致します。「形容詞の副詞的用法」とみなします。
直訳は、「汝らは喜ばしい状態で生きなさい、運命が許す間は。」となります。これを「運命が許す間、喜々として生きよ。」と意訳することは可能です。
セネカの『狂えるヘルクレス』という悲劇に見られる言葉です(Hercules furens, 178)。

<補足>
運命は fortūna とも fāta (ないしは単数の fātum)ともいいます。前者は女性形なので、「運命の女神」と訳されることもあります。fāta は中性・複数形で女神にはなりません。英語の fate の語源です。ルーツは「言う」という動詞と関連していて、「言われたこと」、すなわち「ユピテルの言ったこと」というニュアンスがあります。

laetī は形容詞ですが、副詞的に使われています。ラテン語ではよくあることです(「形容詞の副詞的用法」)。人間が生きているのは、自分の意志によるのではなく、運命がそれを許しているからだ、という考えが前提になっています。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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