Tu fui, ego eris. 墓碑銘の言葉

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語彙と文法

「トゥー・フイー・エゴ・エリス」と発音します。
Tūは2人称単数の人称代名詞、主格です。主格は文の主語になることが多いですが、補語にもなります。
fuī は不規則動詞 sum,esse(である)の直説法・完了、1人称単数です。fuīだけ訳すと、「私は~であった」となります。~の部分に入るのが文頭の Tūです。つまり、「私はあなたであった」と訳すのが正解です。
egoは1人称単数の人称代名詞、主格です。
eris は不規則動詞sum(である)の直説法・未来、2人称単数です。形が2人称単数という点から、erisだけを訳すと「あなたは~になるだろう」となります。~の部分に入るのが egoです。つまり、「あなたは私になるだろう」と訳せます。
全体をまとめると、「私はあなたであった。あなたは私になるだろう」と訳すのが正解です。
なぞなぞのように聞こえる表現です。
墓碑銘に刻まれる言葉として知られています。
「私」が墓に眠る死者、「あなた」が墓を眺めている人、と考えると合点できます。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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